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2016/9/21

【連載】高速ユーザーテスト実践講座 第6回「タスク設計法」

・第6回「タスク設計法」

ユーザーテストでは被験者に何らかの作業課題=「タスク」を実行してもらいます。例えば、オンラインショップで商品を購入してもらったり、会計ソフトを使って確定申告を行ってもらったり、スマホで撮った写真を加工してもらったりします。
 

タスク設計の四原則

 
タスクはテスト結果を大きく左右します。「ユーザーテストはタスク設計がカギ」と言っても過言ではありません。適切なタスクを設計するための基本原則があります。
 

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①主要なタスクに絞り込む
ユーザーが製品を利用する目的は様々です。そのため、細かいバリエーションを含めると、想定されるタスクの数は数百種類に及んでしまうかもしれません。当然ながら、それらすべてをテストすることはできません。ユーザーテストでは主要なタスクだけテストします。
 
②ユーザの視点で発想する
ユーザーインタフェースの最も重要な役割は、ユーザーの目的達成をサポートすることです。タスクとは、このユーザーの目的のことです。ところが、設計チームはときどき、自分たちがユーザーにやって欲しいと思っていること(つまりビジネスゴール)をタスクとして検討してしまうことがあるので、注意が必要です。例えば、不動産情報サイトならば「新築マンションの購入」ではなく「気に入った物件の見学申し込み」のほうがタスクとしては適切でしょう。
 
③スタートとゴールを定義する
ユーザーテストの最大のチェックポイントは「ユーザーがタスクを達成できるかどうか」です。そのためには“ゴール”が必要です。ゴールが定義されていないと、ユーザーがタスクを達成したかどうかを判定できません。また、ゴールだけでなくスタートの定義も必要です。スタート地点が異なると、ユーザーは全く違う経路を通ってゴールに到達してしまうかもしれないからです。ユーザーには必ず事前に定義したスタート画面からタスクを始めてもらい、ゴール画面に到達したことでタスクを達成したと判定します。
 
④シナリオ化する
タスクの内容が適切であっても、唐突に「このサイトで店を探してください」などと言われてもユーザーは戸惑ってしまいます。本当の利用場面ならば、ユーザー自身に具体的な理由や目的がありますが、テストではそれはありません。動機がないと、ユーザーは自発的に行動が起こせず、指示待ちの姿勢になってしまいます。そこで、仮の状況を追加してタスクを物語風に脚色します。そうすることで、ユーザーは自分自身の体験を思い起こしながら、より現実感を持って、能動的に製品と向き合うことができるようになります。
 

タスク設計の手順

 
タスクは以下のような手順で設計できます。
 

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①ユースケースのリストアップ
タスク設計のためには、まず、対象となる製品やウェブサイトでユーザーがどのような目的を達成するのか(「ユースケース」)をリストアップします。例えば、6月に開催した「高速ユーザーテスト実践セミナー」の場合、テスト対象であるPC直販サイトの最上位レベルのユースケースは以下のようになるでしょう。

http://www.usertest-onsearch.com/knowledgelist/knowledge-291/

●121Ware
  ○製品情報を入手する
  ○サポート情報を入手する
  ○活用情報を入手する
  ○マイページを利用する(ログインID取得を含む)
●NEC Direct
  ○製品情報を入手する
  ○パソコンをカスタマイズする
  ○パソコンを購入する(ログインID取得を含む)
 
【備考】本来、ユースケースとは人間のユーザーの要求に限定されるものではないが、ここでは狭い意味で捉えている。
 
②ユースケースの選択
次に、テスト目的に適したユースケースを選びます。PC直販サイトにおけるユーザーの購入体験を検証しようとするのならば、以下の3つが該当するユースケースになります。これがタスクになります。ただ、「カスタマイズ」と「購入」は連続したプロセスなので、それらはタスクとしては統合できます。要するに、ユーザーがPC直販サイトでパソコンを探して、パソコンを購入するというタスクの構成になります。
●タスク1:パソコンを探す
  ○製品情報を入手する
●タスク2:パソコンを購入する
  ○パソコンをカスタマイズする
  ○パソコンを購入する(ログインID取得を含む)
 
③シナリオの定義
選択したユースケースが成り立つような仮の状況を定義します。
「○○さんはお子様の大学進学に合わせてパソコンを購入することを考えています。大学生は学校内で、下宿先でPCが必要です。また授業でのレポートを作成したりするのにドキュメント作成や表計算のソフトも必要になりそうです。」
 
④タスク指示文の作成
被検者にタスクを指示するための文章を作成します。
タスク1:「こちらのサイトから、先ほどの状況設定を考えて購入したいパソコンを探して対象を決めてください。」
タスク2:「LAVIE Direct HZ [Hybrid ZERO]を購入する手続きをしてください。」
 
パイロットテストを忘れずに
どんなに綿密にテスト設計を行っても、実際にテストを行うと予想外の事態が発生します。もちろん、ユーザーの行動が予想外なのは織り込み済みですが、テスト内容そのものに問題が見つかることも少なくありません。そこで、必ず「パイロットテスト」を行います。パイロットテストの目的は「ユーザーテストそのものをテストする」ことです。特に、シナリオやタスク指示文が正しく被検者に伝わるかどうかを事前に念入りにチェックしましょう。
 

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【著者紹介】
樽本 徹也(たるもと てつや)
利用品質ラボ代表。ユーザビリティ工学が専門で特にユーザ調査とユーザビリティ評価の実務経験が豊富。著書は『アジャイル・ユーザビリティ 』 『ユーザビリティエンジニアリング(第2版)』(いずれもオーム社)など。
認定人間中心設計専門家、認定スクラムプロダクトオーナー。産業技術大学院大学「人間中心デザイン」講師。

>>第1回「ユーザーテストとは」
>>第2回「ユーザーテストの大原則」 
>>第3回「ユーザーテストの基本理論」 
>>第4回「ユーザーテストの実施手順」 
>>第5回「リクルートのコツ」 
 

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▼「高速ユーザーテスト実践ワークショップ」レポート▼

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